この文章はあるコンサルタントサイトの配管コンサルタントオファーに対して、その応募の際に書いた、配管工事に関する管理について書いたものです。
イントロダクション
小生、1986年より株式会社IHIに執務、LNG受入設備、化学プラントを事業とする、プラント事業部配管設計に配属、電気計装設計の経験を経て、プラント事業部、建設部に転籍し、以後、17年間、プラント関係設備の工事管理中心に、工事監督、現地建設所長の経験を有します。
また、小生の有する資格としては、配管製図士2級、一級管工事施工管理技士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士、また、有機溶剤作業主任者等の資格を有します。
また、経歴としては、
- K電力姫路LNG管理所 高圧気化器、中央制御室交換工事、機械・配管工事監督(15000ID前後)
- インドネシア S社 酢酸エチルプラントプロジェクト 建設副所長・スケジュール・プログレスコーディネーター(20000ID前後)
- インドネシア S社 酢酸エチルプラントプロジェクト増設工事 プロジェクトマネージャー兼建設副所長(2000ID前後)
- フィリピン P社プロジェクト 副プロジェクトマネージャー・建設所長(5000ID前後)
- アイルランド T社 マルチパーパス医薬品原料プラント 建設所長(20000ID前後)
- メキシコ S社/T社 アルタミラLNGプロジェクト 建設所長(20000ID前後)
- インドネシア J社向 SENORO Gas Development Project総建設責任者(500000ID前後)
- インドネシア M社向 Banyu Urip Oil Development Project シニアスケジュールコントローラー(600000ID前後)
- 等
配管工事管理計画
大小様々な配管物量の上記のプロジェクトについて、全て、プラント工事のキーとなる、配管工事の計画を中心とした工事計画を策定し、その実施を自らの手で現場で管理し、納期内に完成を達成してきました自負があります。
プラントEPC事業の工事管理の最も重要な要点は配管工事管理であり、配管工事管理を計画通りに行えれば、プラント工事全体の建設スケジュールは確実に守れると確信しています。
その要点として、管理計画の作成において、
- 前工程の確実かつ現実的な計画:
- 配管材料、プレファブ(配管工場製作・内作)の確実な計画
- 前工程である機器や架構据付工程との引き渡しマイルストーンの確実な計画
- 必要な仮説計画(足場等)の確実な準備
- 配管据付に必要な配管サポート製作のタイムリーな現地投入
- 据付図面(配管組立図、アイソメ図)の据付計画にマッチした出図
- 配管工事計画の確実・現実的計画
- 工事原単位、配管据付原単位・配管溶接原単位、サポート据付原単位の把握
- 工事工程期間の把握、全体工程から工事工程のシーケンス、そして、工事工程の各イベントの期間を計画する
- 各イベントの工事工程期間において、原単位による工事リソースの山積み計画
- 工事リソース山積み計画のフィードバックによるリソースの平坦化と現実的配分、必要な場合の工事期間の見直し
- 必要な際にはこのルーチンの(イ)に戻って、計画の見直し
- 配管工。溶接工、配管・サポートプレファブ計画、機材の手配計画とのマッチング、そして、手配
- 配管工事計画の完成
- 配管工事管理計画の作成
- 配管工事計画に基づき、そのプログレスカーブの計画を作成する、大型工事においては、
- 配管サポートプレファブ計画
- 配管プレファブ計画
- 配管サポート据付プログレス計画
- 配管肌合わせプログレス計画
- 配管溶接プログレス計画
- 配管テストプログレス(PT/RT/耐圧テスト等、必要に応じ)計画
ただし、上記のプログレス管理計画はその配管管理のサイズによって集中できる、小生の意見として、例えば、10000以下のプロジェクトであれば、現場の肌合わせと現場の溶接プログレスで充分でないであろうか、20000ID程度のプロジェクトあればプレファブも管理した方が良くなってくるし、100000IDともなれば全てのプログレスがハーモナイズしないと、現場でプレファブと現地の必要とする材料との食い違いが生じ混乱が生じる可能性が出ると思います。
配管図面、サポート、配管材料の納入順番の確実な計画
上記の計画を如何にうまく作っても必要な材料が必要な時期に納入されないと、全く意味をなしません、工事計画は基本的にその工事エリアを設定し、その設定エリアごとに策定された優先順位に基づき、図面製作、サポート製作、配管製作が行われ、現地に納入されることが基本となります。
出会い工事との確実なスケジュール調整
埋設配管やタイ・イン等、土木。運転サイドとの日程調整が必要な場合は客先を通じ、工事乗り込み前にその日程を確実に設定し、その日程を死守する。特に埋設配管やタイ・イン工事は時期的にピンポイントになる可能性が大きいので、その材料の日程調整やプレファブ製作調整は時間的な余裕をキチンとみる必要があります。
重要マイルトーンの策定
以下のような例のマイルスートンは管理計画の達成のマイルトーンとして、策定する必要があります、この様なマイルストーンの策定を十分にしておかないと、配管プログレスは管理上問題ないのに工事の遅れが生じてしまうというような状況が起こりかねないことになります(以下、時期は都度決定)。
- ユーティリティーシステム(計装空気系、工事用空気系、水系、スチーム系、窒素系)引き渡しマイルストーン
- 埋設配管完成・引き渡しマイルストーン
- 耐圧気密テスト開始マイルストーン
- 主要(プロセス)システム配管引き渡しマイルストーン
- メカニカルコンプリーション
- 客先によって、耐圧気密テスト、そしてフラッシング、そして、総合気密テストに関する考え方やポリシーが違うケースが多いです、これは客先の今までの運転経験やプロセスの特異性によって変わってくるのが理由で、小生の経験では様々なパターンがあるし、同じプラントでもプロセスによってその方法が違う等の状況もあるので、十分に事前に客先と調整する必要があると思います。
- 配管工事管理計画の完成
- 現場工事管理
上記の計画に基づき、現場で配管工事管理を行います。
特に原単位管理は重要で、計画原単位と実際原単位が食い違うような場合は、即、その原因を究明し、計画原単位と実際原単位の食い違いの対策を行う必要があります。
小生の様々な経験ではその原因は主に現場にあり、その原因を対策すれば計画原単位に戻るケースが多いです。
ゆえに「現場管理の肝は現場にあり」で、基本的にパソコンの数値を変更したりしても、ますます工事遅れは悪化し、その悪化ループに陥る状況になってしまうケースが主です。
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